不動産を売却した時の税金

不動産を売却した時の税金

不動産を売却して得た利益には、税金がかかります。仕組みと概要については、⑥譲渡所得税等を参照してください。

ここでは、譲渡所得税等の計算と制度の詳細について、より細かくご説明します。​

1. 税率と所有期間

税率は、不動産の所有期間に応じて異なり、短期譲渡と長期譲渡の2種類に分かれています。短期間での転売など投機を防止する観点から、所有期間が短いと高い税率が適用されます。

どちらに該当するかは、譲渡した年の1月1日の時点で、その不動産の所有期間が5年以下か、5年超か、で決めます。

短期譲渡(5年以下):39.63%(所得税30%、復興税0.63%、住民税9%)

長期譲渡(5年超):20.315%(所得税15%、復興税0.315%、住民税5%)

例えば、平成26年中に購入した不動産の場合、平成27年1月1日時点では0年になり、

→ ①H28.1.1 → ②H29.1.1 → ③H30.1.1 → ④H31.1.1 → ⑤R2.1.1

となって、令和2年の売却ならば5年超で長期譲渡、平成31年中に売却すると短期譲渡になります。

ちょっと分かりにくいですが、固定資産税・都市計画税も1月1日の所有者が納税義務を課されるように、不動産の税金は、1月1日の所有を基準にしています。

また、所有期間が10年を超えると、譲渡所得の6,000万円までの部分について、税率が14.21%(所得税10%、復興税0.21%、住民税4%)になる、10年超所有の軽減税率の特例が適用できる場合があります。

なお、取得日・譲渡日は、原則、マンションの引渡し日ですが、個人の場合には、売買契約の効力発生の日、つまり売買契約日とすることもできます。(停止条件など、売買契約日に効力が発生しない条件設定がある場合は不可。)

また、取得日を売買契約の効力発生日にして、譲渡日は不動産の引渡し日にする、ということも認められています。ただ、建築中の分譲マンションや請負建築での取得など、契約時点で完成していない不動産の場合には、引渡しを受けた日が取得日になります。​

2. 取得費

取得費は、マンションを取得するのに要した費用のことです。

取得費には、マンションの購入代金、購入手数料のほか設備費や改良費などが含まれます。なお、建物の取得費は、減価償却費相当額を差し引いた金額となります。

取得費 = マンションの購入代金 + 購入手数料等 + リフォーム代等 - 減価償却費

購入手数料等 = 購入時の仲介手数料・印紙税・登記費用(登録免許税含む)・不動産取得税など

※事業所得などの必要経費に算入されたものは含まれません。

*参考:国税庁ホームページ No.3252 取得費となるもの

​減価償却費の計算方法

事業用(賃貸用)のマンションについては、毎年の減価償却額の合計となります。

ここでは非事業用(自宅・セカンドハウス)について説明します。

減価償却費 = 建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

償却率は非事業用(自宅・セカンドハウス)と事業用(賃貸用)で異なります。

自己居住用:耐用年数70年・償却率0.015

賃貸用:耐用年数47年・償却率0.022

賃貸用(H9.12.31までに取得したもの):耐用年数60年・償却率0.017

経過年数は端数が6ヶ月以上のときは1年とし、6ヶ月未満のときは切り捨てます。

マンションの場合、土地と建物は一体として取り扱われるので、建物だけの購入代金が分からないことが多いと思います。​

​購入の契約書に消費税額が記載されている場合

土地には消費税がかかりませんから、消費税額をその時の消費税率で割り戻せば、建物の金額がわかります。

建物の購入代金 = 消費税額 ÷ 消費税率 + 消費税額

<購入年月と消費税率>

H1.4.1~H9.3.31 :3%

H9.4.1~H26.3.31 :5%

H26.4.1~ :8%​

​購入の契約書に消費税額が記載されていない場合

売主が課税事業者でない場合には消費税がかかっておらず、逆算することはできません。

その場合、建物の購入代金を複数の計算方法から選ぶことができます。ここでは代表的な、①建物の標準的な建築価額表による方法、②固定資産税評価額の比率で按分する方法、を説明します。

① 建物の標準的な建築価額表による方法

建物の標準的な建築価額表の建築単価にマンションの専有面積を乗じて建物代金を計算する方法です。

(建物の標準的な建築価額表は、下記をご参照ください。)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2018/kisairei/joto/pdf/013.pdf

まず、マンションの登記簿で建物構造と建築年を確認し、建物の標準的な建築価額表で該当する建築単価を見つけます。そして、その建築単価に、同じく登記簿に記載されている専有部分の面積(㎡)を乗じて、建物代金を算出します。

建物代金 = 該当する建築単価 × 登記の床面積​

② 固定資産税評価額の比率で按分する方法

固定資産税評価額の割合で、マンションの購入代金を土地分と建物分に分ける方法です。

まず、評価証明書や固定資産税の課税明細書でマンションの土地と建物の固定資産税評価額を確認します。マンションの場合、土地や建物の共用部についてはマンション全体の評価額がでていますから、その場合は、そこに自分の持ち分割合を乗じて、自分の所有分の固定資産税評価額を計算します。

その後、以下の算式で、建物代金を算出します。

建物代金 = マンションの購入代金 × 建物の評価額 ÷( 土地評価額 + 建物評価額 )​

3. 譲渡費用

譲渡費用は、マンションを売るために直接かかった費用のことです。

マンションの場合には、主に以下の2つになります。

売却の仲介手数料

印紙税

上記のほか、賃借人の立ち退き料などを含めることができます。詳しく知りたい場合は、下記をご参照ください。

*参考:国税庁ホームページ No.3255 譲渡費用となるもの

なお、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用は対象となりません。

​4. 売却益がでたときの特例

マイホーム(居住用財産)を売って利益がでたときには、以下の特例を使える場合があります。​

A)3,000万円の特別控除

B)10年超所有の軽減税率

C)特定の居住用財産の買換えの特例

AとBは同時に適用できますが、CはA・Bと同時には適用できません。

いずれも、自分で住んでいるか、以前に住んでいた自宅を売却した時だけ適用できます。以前に住んでいたマンションの場合には、住まなくなった日から3年目を経過する日の属する年の12月31日までに売ったものに限られます。また、途中で賃貸用として利用していても適用できます。

なお、前年、前々年において居住用財産の特例の適用を受けている場合は使えないほか、一定の親族・同族会社等への売却の場合には使えません。​

​A)3,000万円の特別控除

所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。​

​B)10年超所有の軽減税率

所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得の6,000万円までの部分について、税率を14.21%(所得税10%、復興税0.21%、住民税4%)に軽減できる特例です。​

​C)特定の居住用財産の買換えの特例(2019年12月31日までの売却)

マイホームを、対象期間内に売却し、売った年の前年から翌年までの3年の間に代わりのマイホームに買い換えたときに、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例です。(譲渡益が非課税となるわけではありません。)

居住期間・所有期間が共に10年を超えるものであることや売却代金が1億円以下であることなどの条件があります。​

​5. 売却損がでたときの特例

不動産の譲渡所得は分離課税なので、不動産の譲渡所得同士は合算できますが、給与所得や事業所得など他の所得とは損益を通算することはできません。

ただし、マイホームの売却で損が生じた場合には、その損失を他の所得と損益を通算できる特例があります。この特例では、通算を行っても控除しきれない損失の金額は、売却の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することもできます。

D)マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたときの特例

E) 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたときの特例

※いずれも2019年12月31日までの売却

売却益がでた時の特例と同様、前年、前々年において居住用財産の特例の適用を受けている場合は使えないほか、一定の親族・同族会社等への売却の場合には使えません。また、譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えている必要があります。​

​D)マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたときの特例

マイホームを、対象期間内に売却し、売った年の前年1月1日から売却翌年12月31日までに代わりのマイホームに買い換えたときに、譲渡損失を他の所得との損益通算できる特例です。

買換資産(新居宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有することなどの条件があります。

*参考:国税庁ホームページ ​No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき

​E)住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたときの特例

マイホームを、対象期間内に売却し、その売却価格が売却契約日の前日における住宅ローンの残高よりも低い場合に、その差額を損失として他の所得と損益通算できる特例です。

マイホームの売却の契約日の前日において、そのマイホームに償還期間10年以上の住宅ローンの残高があることなどの条件があります。

*参考:国税庁ホームページ No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき

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