不動産の購入には、不動産取得税や登録免許税などの税金がかかりますが、一定の条件を満たす住宅は、その減免を受けることができます。また、ローンで購入する場合には、住宅ローン減税を受けることができますが、こちらも一定の条件を満たす住宅に限られます。
その条件のひとつに、木造住宅等の耐火建築以外の建築物は築20年以内の物件、マンション等の耐火建築物は築25年以内の物件に限る、というものがあります。これは、構造的にしっかりした安全性の確保されている住宅について優遇して税を減免するという制度ですが、もっと古くてもしっかりした建物はたくさんありますよね。
その場合には「耐震基準適合証明書」という証明書を取得することで、建築後20年あるいは25年を超える物件でもこの優遇を受けることができます。
耐震基準適合証明書は、その建物が耐震基準(新耐震基準)を満たしていることを証明する書類で、建築士事務所に所属する建築士や指定性能評価機関などが発行することができます。昭和56年6月1日以降の建築確認には新耐震基準が用いられていますので、例えば昭和59年(1984年)に建築された物件は新耐震基準で建築されています。しかし、経年劣化などで耐震性が低下している可能性もありますから、優遇を受けるためには、あらためて耐震基準適合証明書を取得してください、ということです。
発行については建築士事務所に依頼することになり、費用は、物件や依頼する事務所によって異なりますが、概ね4~6万円くらいです。
いわゆる旧耐震物件(昭和56年5月31日以前に建築確認を申請して建築された建物)の場合には、耐震診断を受けていないと、耐震基準適合証明書を取得することは現実的にはできないようです。
木造住宅の場合には、10万円くらいで耐震診断を受けることもできますが、診断の結果、耐震基準を満たしていない場合には、耐震補強工事を行って耐震基準を満たさないと耐震基準適合証明書の発行を受けることはできません。(耐震診断費用:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合HPより)
マンションの場合、耐震診断を受けるには数百万円(あるいはそれ以上)の費用がかかりますし、管理組合の決定が必要です。そのため、耐震診断を受けていない旧耐震マンションの場合には、耐震基準適合証明書を取得するのは非常に難しいことになります。(耐震診断費用の目安:一般財団法人日本耐震診断協会HPより)