滅失されていない建物登記。幽霊建物・おばけ登記とは何か?

滅失されていない建物登記。幽霊建物・おばけ登記とは何か?

実際には存在していない建物が、登記上は存在しているということがあり、この建物登記のことを「幽霊建物」、「おばけ登記」などと呼んでいます。

幽霊建物・おばけ登記が生じる理由

不動産の登記は、原則、本人の申請に基づいて変更・修正等が行われます。不動産登記法では、建物を解体した場合には、1か月以内に建物登記の滅失の申請を行うことが義務づけられています。

きちんと申請を行っていれば建物登記は滅失されているはずですが、解体をした時に、何らかの理由で滅失の申請を行っていない場合、建物登記は滅失されず、そのまま残ってしまいます。

数十年前に解体された建物では、滅失の申請が適切にされなかったものが多くあり、土地の売買等の際に見つかってびっくりする、ということもよくあります。

調査方法

幽霊建物は、登記記録の問題ですから、法務局で登記を取得することで調べることができます。

建物登記の取得方法は、家屋番号を指定する方法と建物の所在から取得する方法の2通りがあります。

家屋番号を指定すると、その家屋番号の建物登記の有無しか分かりません。調べたい土地の地番を指定して、その土地上の建物の建物登記を取得することで、幽霊建物の有無を確認するができます。

税金を払い続ける、建物を建てられないは本当か?

幽霊建物・おばけ登記があっても、実際には何も問題が無いことがほとんどです。逆に言うと、何も問題が無いため、何十年も気付かないという訳です。

サイトによっては、固都税(固定資産税・都市計画税)が課税され続ける、新しい建物を建築できない、などと解説していますが、正確ではありません。

まず固都税について言えば、登記記録と課税台帳は別のものですから、[ 登記が残っている = 税金が課される ] という訳ではありません。登記記録は本人の申請が無ければ原則そのまま変更されませんが、課税台帳は自治体の調査により変更されます。仮に自治体の調査もれがある場合でも、課税されていれば毎年送られてくる納税通知書の課税明細に建物の記載があり、自分で気付くことが多いでしょう。したがって、幽霊建物・おばけ登記に数十年にわたって課税され続けているということは、実際にはほとんど無いように思います。

また、新しい建物の建築についても基本的に問題ありません。建物を建てるための建築確認の手続きでは、建築基準法など関係法令への適合が確認されますが、そこに登記の調査は含まれないのが一般的です。したがって、幽霊建物・おばけ登記があるから、新しい建物が建築できない、ということは無いものと思います。

幽霊建物・おばけ登記があることの問題点

幽霊建物・おばけ登記があることで生じる本当の問題点は、以下の3つです。

  • 家屋番号がずれてしまう
  • 金融機関の融資が順調に進まない可能性がある
  • 上記の理由で買主が嫌がる

家屋番号がずれてしまう

例えば、地番が「100番1」という土地に建てた建物を登記すると、家屋番号も「100番1」になるのが普通です。

しかし、幽霊建物が既に「100番1」を使ってしまっていると、同じ番号は使えないため、新しく登記される建物の番号は「100番1の2」になります。

新たに建物登記を行った所有者や、建物を購入する買主にとっては、「どうして2なのか?」と大きな違和感や不安、不信感の原因となります。

金融機関の融資が順調に進まない可能性がある

幽霊建物・おばけ登記があることで、融資が順調に進まない可能性があります。

幽霊建物・おばけ登記は、記録だけの存在とはいえ、そこを切り口に第三者から地上権や借地権等などを主張される恐れが全く無いとは言えません。小さなリスクや曖昧さも許容しにくい立場の金融機関にとっては、無視できない内容になり得ます。

上記の理由で買主が嫌がる

実際に問題が生じるかどうかは分かりませんが、幽霊建物・おばけ登記があって良いことはありません。

不動産の売買契約では、「名目形式の如何を問わず、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消する」義務が売主に課されるのが一般的です。幽霊建物・おばけ登記が、買主の完全な所有権の行使を阻害するかどうかは、議論や解釈の余地があるかもしれませんが、買主としては、幽霊建物・おばけ登記を滅失して物件を引き渡して欲しい、と希望するのが普通です。

幽霊建物・おばけ登記の滅失の手続き

所有者であれば、本人の申請で建物を滅失することが可能です。取壊し証明書があれば、ご自身で登記するのも難しくなく、費用も少額です。なお、取壊証明書が無い場合は、上申書を作成して添付します。

しかし、ほとんどの幽霊建物・おばけ登記は古い登記のため、登記名義人は変わっていることも多いでしょう。

相続人が滅失する場合

所有者が亡くなっていて、相続人が滅失の申請を行う場合は、申請者が相続人であることを証明する必要があり、以下の書類が必要になります。なお、相続登記は不要です。

  • 登記名義人の改製原戸籍
  • 登記名義人の除籍謄本
  • 申請者の戸籍謄本
  • 申請者の住民票

買主が滅失する場合

売買で所有者が変わっている場合もあると思います。以前の所有者の協力が得られる場合は、前述の手続きで対応することができます。

以前の所有者の協力が得られない場合には、登記官の職権により幽霊建物・おばけ登記を閉鎖してもらう必要があります。

この場合、現在の土地所有者が、利害関係人として建物滅失登記を申し出る、という手続きを行います。相続人が滅失する場合と比べ、イレギュラーな対応になりますので、それなりに費用がかかると思いますが、土地家屋調査士に依頼することをお勧めします。

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