土地区画整理事業を施行すべき区域とは何か?

土地区画整理事業を施行すべき区域とは何か?

土地区画整理事業は、道路などが十分に整備されていない地域において、土地所有者等が皆で少しずつ土地を出し合ったり(減歩といいます)、交換等をすることで、地域全体をきれいな整理された区画にする事業です。

区画の整理と合わせて道路や公園などの公共施設の整備を行い、整った住みやすい街になるため、土地の価値が高まります。この土地区画整理事業の区域内で建築物を建築する場合には、土地区画整理法第76条第1項の規定に基づく許可というものが必要です。

ところで、東京の一部の区域では、この「土地区画整理事業の区域」とは別に「土地区画整理事業を施行すべき区域」というものがあります。これは一体なんでしょうか?

土地区画整理事業を施行すべき区域の成り立ちと現状

成り立ち

太平洋戦争の戦後復興において、都市の市街地はどんどん広がっていく状況にありました。その膨張が際限なく拡大してしまうことを防止し、都市の郊外部に自然環境と生産農地を確保する目的で、東京では昭和23年に周辺区部の一部を「緑地地域」というものに指定しました。緑地地域に指定されたのは、大田区・世田谷区・杉並区・板橋区・中野区・練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区の9区の一部です。この緑地地域では市街化抑制措置により建ぺい率が10%に制限されていました。

緑地地域は、1968年(昭和43年)の都市計画法の成立・施行により廃止になったため、その指定を受けていた地域が昭和44年に「土地区画整理事業を施行すべき区域」として都市計画決定されました。

この時点では「土地区画整理事業を施行すべき区域」は、将来、土地区画整理事業が行われる前提だったようです。しかし、建ぺい率10%の市街化抑制措置が解除されたため、土地区画整理事業の実施を待たずに市街化が進行するようになりました。

現状

少し古い情報ですが、東京都都市整備局によると、平成14年2月末時点で、計画決定区域約8,993.7ヘクタールのうち約30%、約2,698ヘクタールで土地区画整理事業が実施され、残りの約70パーセントの区域は事業化に至っていません。

土地区画整理事業が未実施の区域でも、市街化の進行によって宅地の細分化などが生じ、土地区画整理事業の実施は難しくなっており、「土地区画整理事業を施行すべき区域」の全てで土地区画整理事業が行われることは現実的に不可能な状況のようです。

なお、世田谷区では区の総面積の約23%が、練馬区では約44%が「土地区画整理事業を施行すべき地域」に指定されています。

土地区画整理事業を施行すべき区域の建築制限

「土地区画整理事業を施行すべき区域」は、都市計画法第12条の市街地開発事業に該当するため、その区域内で建築行為を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要です(同法第53条)。

<世田谷区の許可基準>

次に掲げる要件に該当し、かつ容易に移転し、又は除却できると認められる建築物

  1. 階数が3、高さが10m以下であり、かつ地階を有しないこと。
  2. 主要構造部が、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。

ただし、許可基準を満たさない堅牢な建築物についても、将来土地区画整理事業の事業化で整備が見込まれる道路の位置を示した「市街化予想図」と照合して、土地区画整理事業に支障がないと認められる場合には、事業施行の際に協力することを条件として、建築が許可されます。

<練馬区の許可基準>

当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであること。

  1. 建築物の敷地に係る土地区画整理事業の実施が、近い将来見込まれていないこと。
  2. 階数が3以下であり、かつ地階を有しないこと。
  3. 主要構造部(建築基準法第2条第5号に定める主要構造部)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造であること。
  4. 建築物がすべき区域の予想街路の内外にわたる場合は、将来において予想街路の部分を分離できるよう、設計上の配慮をすること

2.または3.に該当しない建築物(4階以上・地階有り・RC造など)についても、「土地区画整理事業の施行に支障となるときは建物の移転に協力すること」の条件付きで、建築規制の例外的な取扱いとして、建築が許可されます。

参考:世田谷区練馬区東京都都市整備局

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