地方自治体の定める都市計画において、建築物の敷地面積の最低限度が定められていることがあります。
これは、敷地分割によるミニ開発等を抑制する目的で、200㎡を超えない範囲で設定されるものです。
原則、敷地面積の最低限度よりも小さい面積の土地には、建築物を建築することができません。
なお、敷地面積の最低限度が定められる前から最低限度よりも小さい土地を所有している場合には、通常、建て替えおよび新規の建築が認められます。
以前は、外壁後退や絶対高さ制限と同様に第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域のみに設定される制度でしたが、平成14年の建築基準法の改正により、全ての用途地域の都市計画において設定できるようになりました。
(建築基準法 第53条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。以下略)
世田谷区の例
指定建ぺい率 | 敷地面積の最低限度 |
40% | 100㎡ |
50% | 80㎡ |
60%(環七外側) | 70㎡ |
60%(環七内側) | 60㎡ |
川崎市の例
用途地域 | 指定容積率 | 敷地面積の最低限度 |
第一種低層住居専用地域 | 80%以下 | 125㎡ |
100% | 100㎡ | |
第二種低層住居専用地域 | 100% | 100㎡ |
上記の例のように、市全域に対して設定されていることもありますし、地区計画の中で特定の地域に設定されていることもあります。
開発指導要綱等の定めとの違い
都市計画で定めるケースの他に、開発等に関する条例や指導要綱の中でも、敷地分割の最低限度が定められています。都市計画で定めている制限と、開発関係の条例等で定めているものは別のものです。
開発関係の条例等で定めているものは、(一定規模(都市部では500㎡)以上の敷地で区画・形質の変更を伴う)開発行為またはそれに準ずるもので条例や指導要綱で定められた規模の建築行為や不動産事業を行う場合に限り適用されます。
一方、都市計画で定めるものは、条例や指導要綱の適用の有無に関わらず、必ず適用されます。
この二つは混同しやすいので、注意しましょう。