特別用途地区とは何か?

特別用途地区とは何か?

地域によっては、通常の用途地区に重ねて、特別用途地区が指定されていることがあります。

特別用途地区では、用途地域の制限に加えて、地方公共団体の条例によって、さらに細かい制限を追加したり、逆に制限を緩めることができます。ここでは、指定されていることの多い、以下の4つについてご説明します。

  • 中高層階住居専用地区
  • 文教地区
  • 特別工業地区
  • 風致地区

中高層階住居専用地区

名称の通りビルの中高層階に一定以上の住宅の設置を義務付けている地区です。

職住のバランスを回復して、夜間人口の過疎化を防ぐことを目的として、夜間の人口が少なくなりやすい大都市の都心部に設定されることが多いようです。

例えば新宿区では、指定階から上の階に住宅割合以上の住宅等の設置が義務付けられていて、詳細は以下のようになっています。(新宿区中高層階住居専用地区内における建築物の制限に関する条例)

第一種 第二種 第三種 第四種 第五種
指定階 3階以上 4階以上 5階以上 4階以上 4階以上
住宅割合 1/3以上 1/4以上 1/5以上 1/5以上 1/6以上

例えば、第一種中高層階住居専用地区で、各階が100㎡の5階建てのビル(延べ面積500㎡)を建築する場合、住宅割合は1/3ですから、3~5階の300㎡のうち、167㎡は住宅にする必要がある、ということになります。

文教地区

学校、図書館などの教育施設、文化施設が集中している地域に指定する地区で、教育文化活動の維持保全のため、ホテルなどの宿泊施設や劇場、バー、キャバレー、ナイトクラブなどの酒類提供飲食店等が制限されます。

東京都の場合には、東京都文教地区建築条例で、第一種文教地区と第二種文教地区の2種類が設定されています。

住環境や教育環境が良いことから、教育水準や所得水準の高い層に好まれやすい地区です。

特別工業地区

環境の保全や地場産業の保護育成を目的として、環境の悪化のおそれがある工場や風俗営業等(バー、キャバレー、ナイトクラブ等)が制限されます。

東京都では、平成16年に東京都特別工業地区建築条例が廃止されたため、必要に応じて市区ごとに条例を設けています。

例えば、世田谷区特別工業地区建築条例では、以下のような制限があります。

  • 建築の制限:原動機を使用する床面積が500㎡超の作業場の建築
  • 用途の制限:かわら・れんが・陶磁器等の製造、鉱物・コンクリート・ガラス等の粉砕
  • 風俗営業等の禁止:キャバレー、バー、ナイトクラブ、料理店等

風致地区

都市の風致の維持を目的として、付近の景観との調和を乱すような建物や行為が制限される地区です。東京都では、東京都風致地区条例により、第一種風致地区と第二種風致地区の2種類が設定されています。

風致地区内で下記の行為等を行う場合には、市区長の許可が必要です。

  • 宅地造成や木竹の伐採
  • 建築物・工作物の建築や色彩の変更など

また、建物の建築にあたっては以下の制限があります。

建ぺい率 建築物の高さ 道路側の壁面後退距離 その他の壁面後退距離
第一種風致地区 20%以下 10m以下 3m以上 1.5m以上
第二種風致地区 40%以下 15m以下 2m以上 1.5m以上

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