都市計画施設と建築・売買の制限

都市計画施設と建築・売買の制限

土地が都市計画施設に該当している場合、建築や売買の制限が課せられるため、不動産の売買を行う際に、売買のタイミングや価格に影響があります。

ここでは、その制限についてご説明します。

概要

都市計画において都市施設として決定されたもののことで、具体的には、都市計画法第11条第1項に定められている以下のものです。

代表的なものは都市計画道路ですが、都市計画施設と言う時には、都市計画道路以外の都市計画施設を指して使われることもあります。

  • 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
  • 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
  • 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給 施設又は処理施設
  • 河川、運河その他の水路
  • 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
  • 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
  • 市場、と畜場又は火葬場
  • 一団地の住宅施設
  • 一団地の官公庁施設
  • 流通業務団地
  • その他政令で定める施設

建築や売買の制限

都市計画施設の区域では、建築や売買の制限が課せられます。制限の内容は、都市施設の計画が、計画決定の段階か、事業決定の段階かで異なっています。

計画決定段階の制限

建築物を建築する場合、都道府県知事の許可が必要です。

また、許可の基準も以下のように定められており、許可基準に適合している場合には許可をしなければならないとされています。

  • 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。(つまり、2階建以下・地下室なし)
  • 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。(つまり、鉄筋コンクリート造(RC・SRC)は不可)

これは、都市計画法の第53条で制限されているため、「53条の許可」と呼ばれています。(都市計画法第53条 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。(以下略))

許可基準については、同じく都市計画法の第54条に定められていますが、自治体により、3階建てまでは可などの緩和基準を設けている場合もあります。

事業決定段階の制限

建築の制限

事業決定された都市計画施設の区域で建築物の建築など以下の行為をしようとする場合は、都道府県知事の許可が必要です。

  • 土地の形質の変更
  • 建築物の建築や工作物の建設
  • 移動が容易でない物件の設置・堆積
  • その他、事業の障害となりえる行為

これは、都市計画法の第65条で制限されているため、「65条の許可」と呼ばれています。(都市計画法第65条 (前略)当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆たい積を行なおうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。)

売買の制限

都市計画事業地内の土地建物等を売却しようとする時は、事前に売却予定価格と売却先等を事業施行者(通常は自治体)に届け出る必要があります。届出後30日間は、施行者がその土地建物を買い取ることができることになっており、30日が経過するか、施行者から「買い取らない旨の通知」が無ければ、売買することはできません。

こちらは、都市計画法の第67条に定められているため、「67条の届出」と呼ばれています。(都市計画法第67条 (前略)事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該土地建物等、その予定対価の額及び当該土地建物等を譲り渡そうとする相手方その他国土交通省令で定める事項を書面で施行者に届け出なければならない。(以下略))

ここでいう土地建物等には、マンションの1室などの区分所有権も含まれているため、区分所有権の売買の場合も届出が必要です。

なお、法律で定められているため、形式的に行われている場合もあります。例えば、東京外かく環状道路(外環)の場合、事業地の大部分では、工事は地下深くにトンネルを掘って行うため、地上の土地の買い取りは行わないことが決まっていますが、届出は必要です。

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