不動産を売る時のよくある疑問

不動産を売る時のよくある疑問

不動産の売却をするにあたっては、仲介会社の担当者から色々なアドバイスをもらうはずです。多くは「なるほど!」という話だと思いますが、中には「そうなのかな?」という話もあるかもしれません。

不動産売買の仕組み・マーケットは、外からは分かりにくいため、何が本当で、どれを信じれば良いのかが難しいことがあります。

ここでは、そのような疑問にお答えします。

専任媒介・専属専任媒介でないと売れない?

査定にきた不動産会社の担当から、一社だけに売却を任せる専任媒介/専属専任媒介でないと、ちゃんと売れないと言われました。本当ですか?

A.回答 都市部では一般媒介の方が高く売れることもあります。

買い手が少ない地域や不動産の場合、複数の会社に依頼する一般媒介では、どの会社・担当者も真面目に活動せず、きちんと売れない、ということは実際にあります。

​仲介手数料は成約価格に連動する報酬であるため、不動産の価格が低い地域では、報酬は都市部よりもかなり低くなります。

一方、そのような地域では不動産の需要が少ないため、買い手を見つける難易度やコストは逆に高くなります。つまり、手間暇が余計にかかるのに、数多くこなさなければならない、という状況になります。

この状況に対応するため、担当者は確実性の高い案件を優先します。複数の会社に依頼された売却物件は、自社で成約できない可能性がある確実性の低い案件ですから、対応が後回しになり、売れにくい状況になります。

しかし、これは不動産価格・不動産需要の低い地域の場合です。首都圏や大阪・名古屋・福岡・仙台などの大都市圏では、不動産価格が十分に高く、仕事に見合った報酬が見込めるため、複数の会社に任せる一般媒介で問題なく売却が可能な物件も多くあります。

もし、都市部の物件でこのような話をされたなら、その理由は、担当者が専任媒介か専属専任媒介で売却を任せて欲しいからかもしれません。担当者にとっては、売れやすい物件を専任媒介/専属専任媒介で任せてもらえるのが一番おいしいのです。一般媒介では、他社との競争になるため、報酬の高い両手取引(1社のみで仲介すること)が難しくなりますし、他社に先を越されれば報酬はゼロになってしまいます。

しかし、これは仲介会社の都合ですし、それでも十分な額の報酬になっていますから、気にする必要はありません。売主にとっては、「検討者の最大化」するためには、どの媒介で売却を依頼すべきか?が重要です。

自社顧客への紹介が販売活動の中心である会社に依頼する場合は、1社に任せる形では「検討者の最大化」ができないので、「一般媒介」を利用して、複数の会社に販売を同時依頼すべきでしょう。

販売期間が長くなると不動産の価値は下がる?​

販売活動を開始して、しばらく買い手が見つからなかったところ、販売活動が長引くとどんどん価値が下がるので、早く値下げをして売却した方がよいと担当者に言われました。特に急いで売却しないといけない事情はないのですが、早く値下げをしないといけないでしょうか?

A.回答 販売活動が長引いても不動産の価値は下がりません。

販売活動が長引くと、どんどん価値が下がって売れる価格が低くなる、というのは、仲介会社の営業担当者が、売主に値下げをして欲しい時によく使うコメントです。

まず、販売活動が長引いても、そのことが原因で価値が下がることはない、ということを覚えておいてください。(長く販売活動をしている間に、市場相場が変動して価値が下がることはあります。また、逆に価値が上がることもあります。)

​住宅の不動産流通市場には常に新しい買い手が入ってきています。長く販売活動をしていても、、その人たちにとっては新しい物件ですから、価値が下がることはないのです。

何ヶ月も物件を見にくる人が全くいないなど、実質的に販売活動になっていないのであれば、価格を含めて商品性を改めて見直す必要がありますが、見学者がポツポツでもいるのであれば、そのまま様子を見ていても大丈夫でしょう。

不動産会社に売却した方が良い?

担当者から、不動産会社への売却を提案されました。提案された価格は、これまで販売していた価格よりもかなり低いのですが、売却した方が良いのでしょうか?

A.回答 価格を大幅に下げて不動産会社に売る必要はありません。

不動産会社の提示価格が、現在の販売価格の2〜3%値引きの範囲であれば、一般の個人が買い手になる場合と差がありませんから、前向きに考えて良いと思います。それ以上の値引きであれば、応じるべきではないでしょう。

販売価格が相場価格に近づけば近づくほど、少しの値下げ幅でも購入希望者が現れる可能性は大幅に高まります。つまり、これまでに何度か値下げをしてきたのであれば、ここからが実際に売れてくる段階なので、焦って値引きに応じる必要はないのです

販売活動では、価格は大きく下げず、4〜6週に1度、2〜3%程度下げるのが良いでしょう。もし、成約予想価格の10%高めの価格で販売を開始したとすると、販売価格が成約予想価格になるには、3〜4回は値下げしますから、およそ18週(4.5ヶ月)必要です。

複数回値下げを行うと、販売に苦戦している気持ちになって、ついつい焦ってしまいがちですが、値下げをしてからが本当に売れやすいタイミングですから、冷静に考えましょう。

性格的に焦ってしまいそうだと分かっている場合は、最初の販売価格を成約予想価格に近くしておくか、初期の値下げ幅を少し大きく取るようにするのが良いでしょう。

なお、不動産会社へ売却するという提案をされた時には、一般媒介にして2社以上の仲介会社に一定期間活動してもらうと、不動産会社の中でも高い買い手を見つけることができます。

レインズに出さない方が高く売れる?

不動産会社に高く売るためには、市場に出さずに売却した方がいいので、レインズには出さずに売りましょう、と言われました。そうなのですか?

A.回答 これは根拠がなく、事実にも反するアドバイスです。

何らかの事情で、不動産会社への売却を検討する時に、担当者が「不動産会社は、市場に出た物件を嫌って価格が下がるので、レインズには出さずに販売した方が良い」と言うことがあります。

​これは、根拠がなく、事実とも反しています。単にレインズに出さずに売却したいために言っていることと考えてください。

レインズに掲出しなければ、その不動産が売却中であることを知っているのは担当者だけです。担当者にとっては、自分以外に買い手を探さす人はいないので、必ず自分が買い手を見つけることができます。そうすると買い手からも仲介手数料をもらえますから、手数料を2倍にできます。

また、どの不動産会社に紹介するのか、条件交渉をどう進めるのか、価格の落としどころをいくらにするのか、全てを担当者がコントロールできます。懇意にしている会社や見返りを多くくれる会社を優先する、ということも実際にあります。一方、レインズに物件を掲出すると、それを見た仲介会社がお客を連れてきてしまうかもしれず、自分の都合の良いようにはできなくなります。

 

売主の立場で考えれば、より良い条件で売却するためには、できるだけ多くの選択肢をあたっておくべきですから、レインズに掲出しない理由はありません

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