仲介と買取の違いは何?

仲介と買取の違いは何?

不動産を売るときの方法には、大きく分けて「仲介」と「買取」の二つの方法があります。一般的に良く知られている方法は「仲介」の方で、「買取」については以前よりは知られて来ているものの、初めて聞く人もいるかもしれません。なんとなくイメージが出来る場合でも、仲介とは具体的に何が違うのか、違いが良く分からない人も多いかと思います。そこで、ここではそれぞれの具体的な内容について、説明したいと思います。

仲介とは?買取とは?

仲介とは、売主と買主の間に仲介会社となる不動産会社が入って売買する方法を言います。買主は主には一般の個人の方です。

一方、買取とは、不動産会社が買主になる場合を言います。買取る不動産会社と直接契約する場合、仲介会社となる不動産会社は入りません。

大きく分けるとこの2つですが、もう一つ、買取のなかで、間に仲介会社が間に入るケースもあります。

この中で、不動産会社が買取る場合は、彼らはどういう目的で買うのかと言うと、買い取った不動産をその後、リノベーション(おおがかりなリフォーム)をして付加価値を付けてから一般の人へ販売します。これを「リノベーション再販事業」と言いますが、その商品の仕入れとして買取を行うのです。この事業を行う不動産会社は、近年とても増えてきています。

具体的な違いは?

簡単に表にまとめると

仲介 買取(不動産会社直接契約)
販売活動 有り 無し
仲介手数料 発生 無し
売却価格 市場価格 市場価格の7~8割
瑕疵担保責任 負う 負わない
売却までの期間 2~6ヶ月(長め) 1か月前後(短い)
近隣に知られずに売れる 知られる可能性有り ほぼ知られない
不動産会社とのやり取り 多い 少ない

もう少し具体的に内容を見ていきましょう

(1)販売活動

仲介

仲介で売却するには、物件を探している一般の人の中から買主を探さなければならないため、販売活動をする必要があります。

具体的には、仲介会社と媒介契約を締結し、不動産情報サイトやレインズ(不動産会社のみ見れるサイト)に物件情報を掲載、新聞折り込み広告やオープンルーム(ハウス)の実施などです。

興味を持った人には内覧をしてもらうため、内覧に備えて室内を片づけたり必要であればハウスクリーニングなども実施して、見栄え良く整えておく事も必要です。

また、内覧の対応のため、週末の予定などの日程調整も必要になります。売れやすい条件の物件は、比較的少ない回数の内覧で売却できますが、競合物件が他に沢山あったり、条件的に厳しい物件の場合は、販売期間が長引くことがあります。いつ内覧希望が入るか分からないので、販売期間が長くなればその分、このような負担が続くことになります。

買取

買取の場合は、買取ってもらう不動産会社に物件を見てもらう必要があるだけで、仲介のような販売活動はしません。通常は複数社から買取価格の見積もりを取るので、何回かは立ち合いの必要があるかもしれませんが、基本的にはそれだけです。

※初めは仲介で売出して、最終的に買取になる場合は、それまでの期間は販売活動をすることになります。

(2)仲介手数料

仲介

仲介の場合は仲介手数料が発生します。仲介会社は買主との条件交渉やアドバイス、契約書類の作成、契約・決済手続きの準備などの、一般の方には不慣れでわかりにくい手続きを一挙に担ってくれます。こうした、一般の方でも安心安全に不動産取引を行えるようなサポートに対し、支払うのが仲介手数料です。

買取

買取りをする不動産会社と直接売買契約をする場合は、仲介手数料は不要です。

しかし、近年は買取事業に参入する不動産会社が増えてきていることもあり、中には質の悪い不動産業者もいる場合があります。買取業者は不動産のプロですので、価格交渉の際など、場合によっては不利になる事もあります。

慣れない不動産の取引を自分で行うとすると契約書類や契約内容を自分で確認しなければならなくなります。買主との契約交渉も自分で行うことになります。

そこで、この買取の場合においても、仲介会社に間に入ってもらうことで、契約条件のアドバイスや交渉、契約書類の確認などを、プロである不動産会社に行なってもらうことが出来ます。仲介手数料を払う必要がありますが、頼れる味方がいた方が安心な事も有ります。

(3)売却価格

仲介

極端な不具合や汚れ、事故事件などの特別な問題がなければ、市場の相場価格で売れます。

買取

リノベーションして再販することを前提に買い取るので、利益部分を見込んだ価格となり、買取価格は安くなります。

(4)瑕疵担保責任

仲介

仲介の場合、物件の引き渡し後3ヶ月間は、物件の隠れたる瑕疵(雨漏り、シロアリの害、給排水管の故障、主要な木部の腐食)があった場合には、売主はそれを修復しなければならないという、責任を負います。特別な事情が無い限り(任意売却等)この責任を負った形で契約締結するのが通常です。

買取

買取の場合は、瑕疵担保責任が免責される場合がほとんどです。リノベーションすることを前提に買取るため、大部分を新しい建材や部品に交換する事が多いからです。

(5)売却までの期間

仲介

一般的に引渡しまでには2~6ヶ月ほどかかります。運よくすぐに買主が見つかっても買主が住宅ローンを借りる場合はローンの審査等に期間を要するため、販売活動の期間が長引くほど、売却完了まで時間がかかります。

買取

販売活動やローンの準備はないので、早ければ一週間から一か月です。 買取価格に納得ができれば、すぐにでも契約することができるので、退去等の準備が整えば、一か月ほどで物件を引渡し、売却代金が入ってきます。

(6)近隣に知られずに売れる

仲介

インターネット上に情報が載る他、不動産会社の店頭に物件情報が掲示されたり、新聞折り込み広告やオープンルーム(ハウス)を実施した場合には、ご近所に分かってしまいます。また、内覧や不動産会社との打ち合わせ等で、何度も不動産会社の人や見知らぬ人が出入りするのを見かけられることもあります。

買取

仲介のような販売活動をしないため、広告や内覧の必要がありません。買取りに際しては、買取業者に物件を見てもらう必要がありますが、各社につき1回、調整次第では複数社でも同じ日時に一度に見てもらう事も可能です。

(7)不動産会社とのやり取り

仲介

査定時、媒介契約時、内覧の日程調整とその報告(通常1度ではなく内覧の度に)、購入申込と条件交渉時、売買契約締結時、引渡し前の確認時、決済引渡し時などの際に不動産会社とのやり取りが発生します。各手続きの実施日だけでなく、日程を調整するための連絡もやり取りする必要があります。

買取

査定時、買取条件交渉時、売買契約締結時、引渡し前の確認時、決済引渡し時などです。仲介に比べると手続きの回数は少ないため、付随する日程調整等の回数も少なくなります。

それぞれのメリット、デメリット

上記の内容を、メリット面とデメリット面にまとめました

メリット デメリット
仲介 市場価格で売れる

 

仲介手数料がかかる

販売活動の必要がある

瑕疵担保責任等を負う

売却期間が長引く事もある

近隣に知られる可能性有り

不動産会社とのやり取り有

買取 仲介手数料不要

販売活動の必要無し

瑕疵担保責任免責

早く売却できる

近隣に知られることない

不動産会社とのやり取り少

売却価格が安くなる

このように、価格面がメリットデメリットに分かれるのと同様に、他の点についても正反対に分かれます。

どちらを選んだらよいか

仲介に向く物件・仲介で売却してみても良い物件

(1)買い手が多くいそうな物件

  • 築浅物件、駅近・人気のエリアなど、立地条件が良い物件

買い手が多くいそうな物件は、購入希望者間での競争原理が及びより高額で売却できる傾向があります。

(2)売却まである程度時間がかかっても良い物件

早く売れることに越したことはないですが、期限の制約がなく、時間がかかったとしてもある程度納得のいく価格で売却したいという場合には、仲介を選んだ方が良いでしょう。但し、仲介で販売活動を行ってみた結果、買い手がつかない場合は、最終的には買取を選択する必要も、物件によってはあります。

買取に向く物件

(1)条件的にやや厳しい要素がある物件

  • 築年数が古い物件
  • 汚れや痛みが激しい
  • 駅から遠い等、立地条件が悪い物件
  • 事件、事故(孤独死等)があった物件

築年数が古かったり、内装が傷んでいる物件の場合、一般の方が買ったとしてもその後にリフォームが必要となります。ローンで購入の場合、買主は物件の購入代金に加えリフォーム代のローンを別に組む必要もあるため、資金面で検討に上がらなくなることもあります。また、事件、事故物件(孤独死等)は個人の買主からは敬遠されてしまいます。

一方、買取の場合は古くて痛んでいても、リフォームすることが前提なので買取り業者にとっては問題ないです。事件や事故があった物件でも、リフォームすることで悪いイメージ要素を取り除いてから再販します。新築同様にリフォームすることで、立地条件の悪さをカバーすることも出来ます。

(2)早く売りたい事情がある場合

何かしらの事情があって、近所に知らせずにとにかく早く売りたいのであれば、買取が向いています。 買取であれば、買主が不動産会社であるため、売主にとってスケジュールの調整がし易くなります。また、売却までのスケジュールが決まっている、あるいは、ある程度明確に予定が分かった方が良いという場合は、買取という選択肢もあるかもしれません。

どちらが自分に合う方法か

これまで、仲介と買取の特徴について、比較しながらみてきました。実際にどちらの方が自分に合うのかは、それぞれのメリット・デメリットを参考にしていただけると、方向性が決まってくるのではないかと思います。仲介と買取のそれぞれの具体的な解説については、こちらの記事も参考にしてみてください。

 

不動産を売るカテゴリの最新記事