不動産の売却仲介は、サービスの内容が目に見えないことや専門性の高さから、売主からは本当の質の水準が分かりにくいものです。結果として、売主が不動産を安く売ってしまうケースも散見されます。ひどいケースでは、仲介会社の対応が原因で、契約相手のとの係争に巻き込まれてしまうこともあります。
担当者の適性やスキル・知識の不足が原因であることもありますし、十分な能力を持つ担当者であっても、会社の経営方針や業績確保のプレッシャー、担当者ができることの制限や社内手続きの煩雑さなどが原因となって、売主の利益が損なわれてしまうこともあります。
仲介会社に売却を依頼した後も、担当者に十分な能力があるのか？ 売主のためになる売却をしてくれるているのか？ を確認する必要があります。
販売活動で本当に重要なこと
不動産は、非常に高額な資産で、売買に要する費用や手間も一般的な商品とは比較にならないほど多くかかります。そのため、たくさんの人を集客できても、また上手な接客や営業トークができても、それだけで売ることはできません。不動産を買うには、不動産に見合った資金力と強い購入動機・購入理由が必要だからです。
不動産の販売活動で本当に重要なことは、以下の２点です。
- 購入する明確な理由と適切な資金力のある本当の購入検討者に情報を届けること
- その購入検討者が来てくれた時に無駄な取りこぼしをしないこと
具体的には、現在の売却活動について下記のポイントをチェックします。
販売開始前の準備は十分か？
- 販売開始前に、魅力度を向上させる対応を行ったでしょうか？
良い買い手候補が物件を内覧してくれても、室内が汚れていたり破損箇所があったりすれば、そこで検討は終了して、せっかくの売却機会を失うことになります。ハウスクリーニングや劣化部分の修繕などは、実際に検討者が現れてからでは遅すぎるのです。しっかりとした準備が整う前に販売活動を始めることは、良い条件で売却できる可能性を下げてしまいます。
価格の提案は適切か？
- 販売価格は、スケジュールを考慮して決められているでしょうか？
不動産の売却にあたっては、価格設定は非常に重要です。売り出し価格によって、有望な検討者をどれくらい集客できるかがかなりの程度決まってくるからです。また、当初の売り出し価格だけでなく、値下げの幅・タイミングなども事前にある程度の計画を立てておく必要があります。計画が無い場合、その時々の検討者の反応などに振り回されて、相場の後追いになって売り時を逃したり、必要以上に安い価格で売却してしまう可能性が高くなります。
広告活動は適切か？
- インターネット広告とチラシ配布の両方を行ったでしょうか？
広告には費用がかかりますから大量に行うことは難しいですが、最低限行っておくべき広告もあります。具体的には、有力な不動産サイトへの情報掲載と近隣へのチラシ配布です。インターネットでは、掲載するサイトの数は重要ではなく、有力な不動産サイトに掲載していることが重要です。３大サイト（SUUMO・アットホーム・HOME’S）のいずれかに掲載されるようにしましょう。チラシの効果は距離が近ければ近いほど高いので、土地・戸建であれば周辺の10～20件程度、マンションであれば同じ棟内へは配布をしておくべきでしょう。
- 検討者に渡す販売図面の出来はどうでしょうか？
他社から顧客紹介を受ける場合を含め、検討者には、具体的な物件紹介のためにまず販売図面というものが渡されます。この販売図面が汚かったり、情報に間違いがあったりすると、検討者は物件そのものにも不安を感じ、内覧に来る前に検討を止めてしまいます。なお、検討者は客観的な正確な情報を欲しいと思っていますから、デザインや内容を凝りすぎるのも逆効果になる可能性があります。
販売活動は適切か？
- 他社からの紹介顧客は内覧にきていますか？
他の不動産会社からの顧客紹介は非常に重要な集客手段ですが、仲介会社によっては自社の手数料が減る方法と考えて、消極的なこともあります。物件の人気度によって割合は異なりますが、月に数件の内覧があるのであれば、半数程度は他社紹介でなければ、自社顧客に偏った集客を行っていると考えられます。
- 担当者は物件のマイナスポイントを細かく把握していますか？
売主が記入して作成する物件状況等報告書や設備表を販売開始前に依頼するなど、担当者はマイナスポイントの把握に努めていたでしょうか？前述のように、不動産の販売活動では、いざ検討者が現れた時に、できるだけ取りこぼさないようにすることが非常に重要です。そのためには、しっかりとした事前準備が必要です。内覧をして本格的に購入を考える検討者は、物件のマイナスポイントを知りたいと考えています。このマイナス情報がスムーズに回答されないと、検討者は、売主や不動産会社は何か隠しているのではないか？他にも良くないところがあるのではないか？と疑心暗鬼になって、購入を断念する可能性が高まります。
