誤解されやすいのですが、特別区道は、特別な区道ではなく、特別区の道です。ここでは、特別区道についてご説明します。
特別区とは何か?
東京の23区は正式には「特別区」というもので、同じ区と言っても、横浜市や川崎市、さいたま市など政令指定都市の区とは異なります。
政令指定都市の区は、行政区と言い、地方自治体である政令指定都市の行政を円滑に進めるために分けられた区域の単位です。
これに対して、特別区はそれ自体が地方自治体です。
そのため、特別区では、区長や区議会議員の選挙がありますし、区で条例も制定します。
特別区道とは何か?
特別区道は、その地方自治体である区(特別区)が認定した道です。位置付けとしては、市道と同等と考えれば良いでしょう。
認定には基準があり、例えば、港区の「特別区道の認定、変更又は廃止に関する基準」では、路線の認定基準は、以下の通りです(一部抜粋)。
- 路線が系統的で交通上重要であること。
- 起終点が認定道路に連絡していること。
- 幅員は原則として4メートル以上であること。
- 道路の形状が良好であること。
- 敷地又は工作物は、原則として寄付させることとし、特に止むを得ない場合に限り無償供用とする。
特別区道なら必ず公道?
道路の調査をしていると、特別区道なのに登記上の所有者が個人ということは割とよくあります。
特別区道は、特別区が所有している道、ではなく、特別区が認定し管理する道です。前述の基準に
- 敷地又は工作物は、原則として寄付させることとし、特に止むを得ない場合に限り無償供用とする。
とある通り、区がその土地を所有している必要はありません。
このように、区道に含まれている民有地のことを、敷地民有地、あるいは省略して敷民(シキミン)と呼びます。
これを公道とみるか、私道とみるかは、何により公道・私道を区分するのかによって異なります。
- 所有権で区分するのであれば、敷地民有地を含む特別区道は私道
- 管理者で区分するのであれば、敷地民有地を含んでいても特別区道は公道
公道・私道という言葉は、このことに注意して使用する必要があります。
敷地民有地を含む場合の問題
特別区道に敷地民有地が含まれていても、所有者から無償使用承諾を取得しているため、一般的な交通など通常の利用にあたっては、区が所有する特別区道との差はありません。
しかし、水道やガスの引き込みのための掘削にあたっては、水道局やガス会社がトラブル防止の観点から所有者の承諾を求めることがあるようです。
また、敷地民有地は、道路として供用される際に所有者の無償使用承諾を取得しているはずですが、それが非常に昔であったり、戦災で資料が消失していることもあり、本当はどのような使用権原を区が有しているのかが分からない場合があります。
このような場合、区ではその権原を明確にするために、権原整理ということを行っています。