前面道路が私道の場合には、下水道の処理区域(下水が公共下水で処理されている、いわゆる本下水の地域)でも、前面道路に公共下水の本管が無いことがあります。
この場合、前面道路には下水の私設管がある可能性があります。
私設管の場合、利用には所有者の承諾が必要で、またその維持管理は所有者や利用者が負担して行います。このように、公共下水とは異なる負担が生じるため、しっかりとした調査・確認が必要です。
下水道台帳の確認
東京23区内の場合、東京都下水道局のホームページから下水道台帳を閲覧することができますが、個人の財産である私設管は台帳に表示されません。
(なお、説明書きには「宅地内や私道の下水道管(排水設備)については、個人の財産のため資料がないので閲覧できません。土地の所有者又は、使用者に確認するか、現地調査をお願いします。」と記載されています。)
画像の例では、右下部分の点線のところが私道で、前面道路配管が記載されていないことが分かります。
このように、都市部において下水道台帳に前面道路配管が記載されていない場合、そこに住宅等があるのであれば、それは私設管を利用している可能性が高いと考えられます。
現地調査
物件の現地調査時には、埋設管についても調査を行います。とはいえ、埋設管そのものは地中にあって見ることはできませんから、道路など地上に出ている桝(マス)の蓋などの有無を確認して、地中の状況を推測します。
汚水・雑排水などの下水は、建物内の配管を通った後に、建物の外に設けられた汚水桝(おすいます)を経由して、下水の本管または私設管に流れる構造になっています。
桝は直径30~40cmくらいの円形で、コンクリート製の蓋をされているものが多いようです。
写真を見てもらうと、狭い道路上に、円形のコンクリート蓋が複数あるのが分かりますが、これが汚水桝です。
建物の前側(道路側)に桝が設置されていれば、そこから下水管につながっていると考えられます。前面道路に公共の下水管が無ければ、私設管につないでいる可能性が高いでしょう。
逆に、桝が無い場合には、違う経路で下水の排出を行っている可能性があります。
私設管の所有者と維持管理
実際にどのように私設管が通っているのか、誰の所有でどのように管理されているのか、ということは、私設管の所有者か利用者でないと分からないことが多いです。
私設管の利用に関しては、月額・年額などで管理費を支払う必要がある場合があります。
まずは物件の所有者に確認しますが、所有者が知らなかったり、不在で確認ができない場合には、近隣の住人の方にも確認する必要があります。
前述の通り、私設管の所有・維持管理は個人に属する情報のため、下水道局では把握している内容があっても教えてもらえないことも多いようですが、自治体によって管理や開示の方針は異なりますので、一回確認はしておく方が良いでしょう。
下水道局で確認できた内容は、所有者や近隣の住人の方から確認できた内容と突き合わせましょう。