建物を建てる際には、良好な住環境の維持、道路や隣地の日当たり・通風を確保するため建物の高さが制限されます。地域ごとに都市計画などで定められていて、大きく分けて以下の2種類があります。
① 絶対的な高さの制限(上限○メートルまで、のような高さの制限)
➁ 斜線制限(ある地点から敷地方向に斜線を引いて決められる高さの制限)
ここでは、後者の斜線制限についてご説明します。
斜線制限の種類と特徴
斜線による建物の高さ制限には、次のようなものがあります。
- 道路斜線制限
- 隣地斜線制限
- 北側斜線制限
それぞれ詳しく見ていきましょう。
道路斜線制限
道路の採光・通風を確保するため、前面道路の反対側境界線から一定の範囲内の建築物の高さの限度を定めるものです。
前面道路の反対側の境界線を起点として、下表の勾配で引いた斜線(=道路斜線)の範囲を超えて建物を建てることができません。
勾配(h) | |
住居系 | 1.25 |
住居系以外 | 1.5 |
※勾配とは、ある地点から敷地方向に1m水平に移動した時、高さがhm高くなる場合の傾きをいいます。
建物を道路境界線から後退して建てた場合や、道路の反対側に河川がある場合などに制限の緩和があります。
隣地斜線制限
隣地の日照や採光・通風を確保するため、隣地境界線から一定の範囲内の建築物の高さの限度を定めるものです。
隣地境界線上から垂直に一定の高さをとり、その地点を起点として、下表の勾配で引いた斜線(=隣地斜線)の範囲内で建物を建てることができます。
高さ(m) | 勾配 | |
第一種・第二種低層住居専用地域 | なし | なし |
第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域 | 20 | 1.25 |
上記以外の地域 | 31 | 2.5 |
第一種・第二種低層住居専用地域では、10mまたは12mの絶対高さの制限が設けられているため、隣地斜線制限は適用されません。
北側斜線制限
敷地の北側にある建物に対して、南側からの日照の確保のために建築物の高さの限度を定めるものです。
北側隣地境界線から垂直に一定の高さをとり、その地点を起点として下表の勾配で引いた斜線(=北側斜線)の範囲内で建物を建てることができます。
高さ(m) | 勾配 | |
第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | 5 | 1.25 |
第一種・第二種中高層住居専用地域 | 10 | 1.25 |
上記以外の地域 | なし | なし |